内田樹はスラスラ読める
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: バジリコ
- 発売日: 2008/07/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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きっかけは、高校時代の友人O君がレビューとかで大絶賛しているのをちょくちょく見ていて、ブログを拝見してみた。
1ヶ月位読んでたら色々面白いので本も買ってみました、というところ。
最初に単純な感想を述べると、非常に面白かった。何が面白いというと、
・割と身近なテーマが多い
・文章が上手
・テーマの論じ方が基本的に生物学的な意味での人間讃歌であること(特定の思想的イデオロギーが基本的に無く、誰かを強烈にディスったりしてない)
・興味関心の幅が広がる(レヴィナスという哲学者がよくでてくるが、自分は知らなかった。)
の4つか。要約すると著者が凄い賢いということか。(論理的かつ中立)
本の形態はブログコンピ。表題に沿って編集者が良いものを選んで並べ替えて、それに著者が前説と後書きを加えるもの。
なので、興味の或る人は内田樹のブログをちらちら見て、その上で必要だと感じたら本を買うと良い気がする。
ブログ本なのに1600円+税を払う価値はどこにあるか、というと、
最も大きなことは膨大な情報から良いものを選んで、それが分り易く並んでいるところ。
膨大な情報からエッセンスを抜き取るという意味では、2chのスレッドから大事な部分だけを抜き出して本にした「電車男」と似ている。個人的にはyahoo ニュースとかだと何が大事か分らないので新聞を読む感覚と似ていると思う。
まあ紙媒体の方が読み易いし頭に入るという個人的な事情もあるけれど。
内容についても書くと、テーマは「構造主義」「少子化」「格差」「生きる力」とか色々。折角著者が前書きで、引用、盗用コピーなど何でも可と言っているので引用してみることにする。
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つねづね申し上げている通り、国家や貨幣や威信などというものはすべて男が作り上げた幻想であって、このようなものに鐚一文の価値もないのである。
現にまともな女性はそういうものにぜんぜん価値がないことを知っているので、定期預金の残高を眺めたり、パソコンのディスプレイに見入っている男に向かって、「ねえ、私と仕事どっちが大事なの?」と訊くのである。
むろん、その場合に「仕事」などと答えた男は再生産の機会から永遠に排除されることになる。
まあ愚痴はやめておこう。
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「すべての歴史的な大事件や大人物は二度あらわれるものだ」と看破したのはヘーゲルである。マルクスはそれにこう付け加えた。「一度目は悲劇として、二度目は茶番として。」
どうして大きな出来事は「回帰」するのか。その理由を誰もうまくは説明してくれない。たぶん、人間は「自分で思っているほどに創造的ではない」のだろう。
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全体的にこういう感じ。こういうの好きなんだ。
後者に関して、これが正しいとすると、今世界的な金融恐慌が起きそうだけれど、歴史が繰り返すとしたら第三次世界大戦が起こるのだろう。
けど今起きたら人類が滅びる(核兵器があるから)ことは皆分っているので、それが世界政府とか、その盟主をキリスト教とイスラム教で争って、結局間をとってダライラマはどうだろうとかそういうことが起きるのかもしれない。
ダライラマだったらまだまともそうだけれどとか。
まあそうならないように色々な人が頑張っているのだろうけれど、そういうところは残念ながら多くの人は評価しない(できない)から、割と悲惨なことになりそうだ。
50年後位に自分が死んだとき結局どうなっているのか楽しみだ。願わくばそれなりに楽しく人生を終わりたい。
人にそのまま言ったら嫌われそうなことばかり書いてあるけど、だからこそ面白いと思うので、お勧めです。まあ直接生活に役にたつことは殆ど何も書いてないけど。
注 追記
他の人のレビューを見て思ったけれども、この本を凄い面白いと感じたのは、自分が保守的(現代人の感性よりも昔から続いてきたシステムを信用する)なことに気がつかされたからかもしれない。